未来のない優しさ
「…思い出話ならしてあげられるわよ。

まず…」

え…?
一体何の話だ…?
柚の体調を聞きに来たのに、その情報をもらえないどころか思い出話って…。

「ふふ。そんな顔しないの。
まず、高校二年間の柚ちゃんはね。
とにかくリハビリに明け暮れる毎日で。
学校にも車椅子に乗って通ったりもしてて。
頑張ってたわよ。

あのかわいさだから男の子からの人気も半端なくあったけど」

「…」

ほんの少しの間、何かを思い出すように視線をさまよわせると

「いつも首にかけて大切にしてる指輪を見せて…好きな人がいるって言って
男の子達をかわしてたわ」
「指輪…」

俺が贈った指輪の事だよな…。
今も大事に身につけている…。

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