未来のない優しさ
③
何だかいつもよりも体が沈みこんでるような感覚で目が覚めた。
体を覆う温かさは、シーツだけじゃなくてきっと力強く抱きしめてる健吾の体温。
目の前の健吾の顔は、どこか笑っているように見える。
最近忙しくてまともにこの顔を見てなかった気がする。
私の体調を気遣かってか愛しあう事も求めてこない。
健吾の激しい愛情表現に慣らされた体は素直に寂しがっていて、仕事中でも不意に健吾の腕の中で感じる快さが欲しくなって…。
そんな自分に驚いたり。
私も健吾を求めてるって事に。
普通に人生を送ってたらこんな気持ち…とっくに自分の中で受け入れて、ちゃんと女としての毎日を過ごしてたはず。
少し…かなり出遅れてるけど、今からでも。
健吾の側で、健吾に愛されて、抱かれて。
そんな悦びを感じたいって思う。