未来のない優しさ




何だかいつもよりも体が沈みこんでるような感覚で目が覚めた。

体を覆う温かさは、シーツだけじゃなくてきっと力強く抱きしめてる健吾の体温。

目の前の健吾の顔は、どこか笑っているように見える。
最近忙しくてまともにこの顔を見てなかった気がする。
私の体調を気遣かってか愛しあう事も求めてこない。

健吾の激しい愛情表現に慣らされた体は素直に寂しがっていて、仕事中でも不意に健吾の腕の中で感じる快さが欲しくなって…。

そんな自分に驚いたり。

私も健吾を求めてるって事に。

普通に人生を送ってたらこんな気持ち…とっくに自分の中で受け入れて、ちゃんと女としての毎日を過ごしてたはず。

少し…かなり出遅れてるけど、今からでも。

健吾の側で、健吾に愛されて、抱かれて。

そんな悦びを感じたいって思う。
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