未来のない優しさ
はっと顔を上げて、心細そうに目を向ける美晴。

「…知ってるの?」

泣かないよう、ぐっと唇を噛み締めて呟く声は
聞き取れないかと思うほどの小さくて、それまでの美晴の強さとは全く逆で。

どんなに今までの日々を
強がって生きてきたのかがわかる。

「…最近…柚が診てもらってる友美先生と会ったんだ。
美晴が九州にいた柚に頻繁に会いに行ってたって聞いて…柚から聞き出した」

「…そう…。

ごめんね。

柚ちゃんが事故に遭ったのって…」

「美晴。違うから。
俺が悪い事に変わりはないんだ」

「…私のせいで…柚ちゃん事故に遭ったのに…」

「美晴っ」

「ごめんね」

微かに歪められた笑顔の奥にある、罪悪感が見える。
潤んだ瞳に浮かぶ涙を堪えながら、出てくる言葉は謝罪ばかり…。

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