未来のない優しさ
正直、どんな理由でも。

仕事が忙しくてなかなか二人の時間がとれない寂しさをカバーできるこの時間は、とても貴重で。

体力の限界を感じる毎日の支えにもなってる。
助手席から見る健吾の横顔も、疲れているけれど見ているだけで和んでくる。

「…悪かったな。
柚が俺に話してくれたって美晴には内緒にするはずだったのに」

視線は前に向けたまま、
穏やかに運転を続けながら話すその顔は、疲れているはずなのに妙に明るくて…。

「美晴ちゃんが、戻ってきて良かったね」

「…」

そっと健吾の腕に手を置いて、笑いかける私の心も穏やか。
流れていく夜の景色も、見慣れているはずなのに、いつもより綺麗に見える。
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