未来のない優しさ
「そんなに近くにいるの?」

「…は?」

思わず呟いた私の声に怪訝そうに眉を寄せると、健吾は体を起こした。

「近くって何が?」

「…」

「拗ねてるのか?」

小さな子に問うように尋ねる健吾の目に映る私はかなり…心細そうに映っている。

「ミックスサンド、今度から私が作るから」

ようやく出た言葉に、嫉妬めいたニュアンスがあるのを健吾は気付いたように笑って。

「俺は、厚焼きの卵が入ってるのが好きだから」

軽くキスを落とした。
私の言葉の奥のもやもやを、わかってるのか…。
安心させるように何度も何度も温かい唇を感じながら、同じように感じる
甘い香りに涙が出そうになる。

そっと離された健吾の顔には、私を愛して大切に思ってくれているとわかる想いが浮かんでいて、
ふっと安心する…。
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