未来のない優しさ
「今日は仕事なんだよね…?」
朝食を食べながら聞いてみると、健吾は申し訳なさそうに顔を歪めた。
「新しく担当になった会社の人と会うんだ。
引っ越しの準備も残ってるのに悪いな…」
私に気遣う口調は、健吾自身も行きたくなさそうで、多少無理に組まれたスケジュールなのかなと感じる。
「引っ越しはなんとかなるから大丈夫。
それより忙しいみたいだから体気をつけてね」
「…柚が、だろ?
疲れてるのまるわかり。
仕事きつかったら辞めてもいいんだぞ」
「…うん…。
でも、疲れてるのはいつもの事だし」
ははっと笑って見せても健吾は何かを考えこんでるみたいで。
「…仕事が好きなら、仕方ないけどな…。それでも
俺には柚の体が気になって仕方ない」
私の体を気遣って…愛し合う事も少なくなった夜が寂しい。