未来のない優しさ
どんなに健吾が愛してくれても。

その時間は次の苦しみまでの単なる猶予期間
だけのような気がしてしまう…。

私が…健吾を一生懸命愛していれば…。
すがりついて離れずに笑っていれば…。

猶予期間はずっとずっと長くなるんだろうか…。

誰もがそんな事を思いながら生きてるわけじゃないのはわかってる。
あの事故さえなかったら私も単純に健吾と並んで笑っているのかもしれないし…。

想像できないけれど。

健吾じゃない誰かの奥さんになって甘い毎日を…。

事故が原因で抱えた運命をやり直せたら…。

あの事故の前に戻って…。

もう一度健吾と向き合いたい。
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