未来のない優しさ
「…何?そんな真面目な顔して」

心のうろたえぶりを出さないようにしながら、明るく言うと

「…俺…」

言葉が続かない…。

「そんな顔しないでよ。
仲良しの大和君が先に幸せになるからって妬んだりしないし。
第一、華穂は私の親友なんだし」

思いの外落ち着いて言えた自分にホッとする。

「私は結婚願望なんて全くないし、気にせずに華穂と二人で幸せになってちょうだい。

そうじゃなきゃ許さないよ」

何か言いたげな瞳はじっと私を見て揺れているけれど、私の言葉がその揺れに蓋をする。
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