未来のない優しさ
側にいても涙
①
疲れ果てた体でようやくマンションに着いたのは、ちょうど日付が変わる頃。
電車に乗る元気もなくて、タクシーで帰ってきた。
タクシーから降りて、マンションに入った時、ちょうどエレベーターが開いて…ぼんやりしていた私の視界に入ってきたのは…。
何度か見た事のある綺麗な女性と、傍らに立つ健吾だった。
私と目が合った瞬間に軽く眉を上げて。
何も言わずにマンションから出て行かれてしまった。
期待は消したはずなのに。
女の人が側にいる事わかってたのに。
一人取り残された自分を実感して寂しい。