未来のない優しさ
側にいても涙




疲れ果てた体でようやくマンションに着いたのは、ちょうど日付が変わる頃。

電車に乗る元気もなくて、タクシーで帰ってきた。

タクシーから降りて、マンションに入った時、ちょうどエレベーターが開いて…ぼんやりしていた私の視界に入ってきたのは…。

何度か見た事のある綺麗な女性と、傍らに立つ健吾だった。

私と目が合った瞬間に軽く眉を上げて。
何も言わずにマンションから出て行かれてしまった。

期待は消したはずなのに。

女の人が側にいる事わかってたのに。

一人取り残された自分を実感して寂しい。
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