未来のない優しさ
すでにあらわになった胸に唇を這わせ、時々痛みを伴う赤い花を咲かせる健吾は片手で私の両手をつかみあげて離そうとしない…。

「健吾…見ないで」

「…」

私の呟きにも答えることなくさまよう健吾の唇。

心では、傷だらけのこの体を見られたくなくて逃げようと、体を隠そうとするのに…。

「…健吾…」

ずっと好きな人に求められる幸せに、体は勝手に応えていく。

生まれてから、健吾にしか許した事のない肌が、再び健吾によって花でいっぱいにされていく…。

「逃げないから…手離して」

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