未来のない優しさ

柚の弟の翔と結婚する事になって、ようやく告げられた…両親ですら知っていたその事実に愕然とした。



｢…野崎、聞いてるか？｣

｢あ…｣

ふと我にかえると、事務所の代表の戸部先生が机の向こうで苦笑している…。
顧問として新しく担当する会社の説明を受けている最中も、集中できずにいる自分にイライラする。

｢すみません…。もう大丈夫です｣

｢珍しいな。どんなに遊びまわってても仕事に影響した事ないのにな｣

｢…｣

からかうような戸部先生の顔を軽く睨む。

｢多分、お前が今度の会社の話を聞いたら他の事なんか吹っ飛ぶぞ｣