彼執氏 *強引彼氏は執事様*
さかのぼること、去年の冬。
「茉理、留学がしたいのか?」
「はい、お父さま。」
私はお父さまと交渉中。
留学の件について。
「日本へ、語学と文化の留学がしたいのです。
一応、日本人ですし。」
私は一応日本人。
アメリカ生まれのアメリカ育ち。
国籍はアメリカだけど、親は日本人だしね?
「一人では行かせれんだろ。」
どうしても私を留学させたくないお父さま。
いろんな理由で阻止してくる。
しかし、私も譲らない。
「では執事をつけてください。
それで十分です。私、護身術は習っていましたし。」
うっ…と顔を歪ますお父さま。
そこにもう一撃。
「それとも私に勉強するなと、させたくないとおっしゃるの?」