ストロ☆ベリー
勉強なんてどうでもいい俺がノートを借りようとしたり。
いちいち自分のコーヒーとイチゴオレを取り替えたり。
「たしか……5限目も小テストあったよね?」
彼女のさらさらな黒髪が風に揺れている。
女嫌いな俺が、毎日屋上で一緒にメシ食ってる理由も。
「ねぇ、どこが出るか知ってる?」
なんで気づかねぇかな。
「……知らね」
「そっか」
彼女は穏やかな顔で俺のコーヒーを飲んでいる。
それも間接キスだってこと。
気づけよな馬鹿。
甘すぎるイチゴオレを飲みながら、フルーツサンドを頬張る。
「イチゴオレにフルーツサンドなんて、イチゴばっかだね。名前も壱檎だし」
笑いながら言う彼女に、一気に顔が熱くなる。
なんで名前知ってんだよ。
「顔赤いよ?」
小さな白い顔で覗き込んでくる彼女に、俺はどうしても勝てない。
「うっせぇ。黙れ」
素直になれたらな……なんてあり得ないことを考えながら、俺はイチゴオレを飲みほした。
end