魔王伝


ソフィアは右腕で涙を力いっぱいゴシゴシ拭った。


『よしっ!!城に帰るか、リッチ』


ソフィアは立ち上がり、リッチに歩み寄った。


『ソフィア様、大丈夫ですか?』


リッチは泣いていたソフィアを心配した。


『何がだ?』


ソフィアはとぼけたふりして魔鳥フウガに乗り込んだ。


『いえ…その…あの…泣いてらっしゃいましたから…』


リッチは言いにくそうに告げた。


『泣いてなんかいない。ただ…目にゴミが入っただけだ。つまらないこと言ってると、置いて行くぞリッチ!!』


ソフィアは魔鳥フウガを飛び立たせようとした。


< 6 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop