魔王伝
ソフィアは右腕で涙を力いっぱいゴシゴシ拭った。
『よしっ!!城に帰るか、リッチ』
ソフィアは立ち上がり、リッチに歩み寄った。
『ソフィア様、大丈夫ですか?』
リッチは泣いていたソフィアを心配した。
『何がだ?』
ソフィアはとぼけたふりして魔鳥フウガに乗り込んだ。
『いえ…その…あの…泣いてらっしゃいましたから…』
リッチは言いにくそうに告げた。
『泣いてなんかいない。ただ…目にゴミが入っただけだ。つまらないこと言ってると、置いて行くぞリッチ!!』
ソフィアは魔鳥フウガを飛び立たせようとした。