赤い蝶々
毎日同じことの繰り返しの中で起こった出会いでした。
二十歳だった私はまどかという源氏名でデリバリーヘルスの風俗で働いていました。

冬の寒い1月あるホテルをたずねました。
『失礼します。私でいいですか?』
淡々と熟す私に圧倒されたのかお客である彼はシャワー浴びてこいと指示。
関西人とすぐ分かり遊びがうまい人と感じた私は扱いやすかったです。
たった一時間を楽に過ごせました。

私が風俗をして何千人と接客してきましたが、大半の方がやらせてあたりまえ、金出してるんだからプライベートも付き合えなど押し付ける方が多く、猫のようにうまくよけるのが得意になっていました。

プレイが終り彼が
『ありがとう。ごめんな。』
まどかになりきっている時に言われたことない、このありきたりな言葉に嬉しかったです。

一時間が経ち一緒にホテルを出ました。
この時にアドレス交換だけしてお互い反対の道に別れました。

毎日来るメールに楽しくて一回しか会っていないのに私の気持ちはどんどん惹かれていきました。
私より19歳上の彼は結婚していることも私に言わないまま連絡は一ヶ月続きました。
体から入る恋は生まれて初めての経験でしどろもどろしっぱなしでした。
2月に入り店を通して指名されました。
『失礼します』
ノックを済ませ入るといきなりコース料金を渡されました。
『今日はただ会いたかっただけなんや』
真面目な顔で言う彼を初めて見てくすぐったくなり
『どした、真面目な顔して。やりたいから呼んだんやら?』
最低な私の言葉に彼は怒ることもなく
『俺にお前の大事な時間譲ってくれへんか?』
体だけ大人な私に顔を真っ赤にしながら勇気をぶつけてくれました。
その日はプレイはなくキスをしただけ。
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