赤い蝶々
彼の携帯がなりました。

『電話なってるわ』
一緒に入ってたお風呂を急いで出た彼は私にメモ紙を渡してきました。
話しをしながら渡してきた紙には
(シャワー止めてくれ)
頭に泡をつけたままシャワーを止め一時間静かにしていました。

どんどん寒くなりがたがた震えていたらようやく彼がきて、堪忍なと軽く言われ温まりシャワーをあとにしました。
電話誰と聞くと
『嫁さんやねん』

はっ?

誰の?

俺のやで。

何で?

遊び馴れたように見えた最初の感触は間違っていませんでした。

落ち着こう、これは
不倫、やばいな、もうあとに引けない気持ち…
パニックになったまま私が彼を責めました。
『何で言ってくれんの、指輪してないし、どういうつもり』

彼は
『嫁さんのことお前に話したら俺の相手してくれへんやろ』
私は落ち着いた口調で言いました。
『だから我慢できるんや。私としなくても嫁とできるもんね』
誰が悪いか分からなくて私は自分を責めました。
私が悪い、年から考えて結婚してるに決まってる。
掠りもしなかった現実に後悔より自己責任が先走りました。

迂闊にアドレス交換なんかするんじゃなかった。
関係を続ける度胸が何処にもなかったんです。

とにかく今日は寝よう。
私はソファーで彼はベッドで寝ました。
< 3 / 18 >

この作品をシェア

pagetop