成長する
†
美幸が息を飲んだのは、翌日、学校へ行ってからだった。
「えっ……? あの、それ、どういうことですか?」
質問の意味がわからなかったのではなく、質問を理解したくなくて、美幸は訊ね返した。
朝のホームルーム前に呼び出された職員室で、難しい……というより険悪な表情をした担任が、同じことを問い質してくる。
「上島が家に帰っていないと今朝、上島の家から連絡があった。お前と上島は昨日、一緒に学校を抜け出しただろう。なにか知ってるんじゃないか?」
「な、なにかって、なにかってなんなんですか……!」
「つまり、上島がどこへ行ったかだ」
「そんなこと……!」
こっちが、聞きたいくらいだった。
朝、学校に来てみれば担任に呼び出され、告げられたのは親友の消失。
おかしいではないか。昨日、自分が眠ってしまっている間に、奈美は帰ったはずだ。見送りはできなかったが、兄がはっきりそう言った。
それとも……あのあともまた、琴美を殺した犯人の手掛かりを探すために、どこかへ行ったのだろうか。
もし、そうだとしたら、この消失の理由は――。
「どうなんだ、ン? 上島がどこに行ったのか、知ってるのか?」
「わ、わかりません……」
と、答えるしかなかった。
「えっ……? あの、それ、どういうことですか?」
質問の意味がわからなかったのではなく、質問を理解したくなくて、美幸は訊ね返した。
朝のホームルーム前に呼び出された職員室で、難しい……というより険悪な表情をした担任が、同じことを問い質してくる。
「上島が家に帰っていないと今朝、上島の家から連絡があった。お前と上島は昨日、一緒に学校を抜け出しただろう。なにか知ってるんじゃないか?」
「な、なにかって、なにかってなんなんですか……!」
「つまり、上島がどこへ行ったかだ」
「そんなこと……!」
こっちが、聞きたいくらいだった。
朝、学校に来てみれば担任に呼び出され、告げられたのは親友の消失。
おかしいではないか。昨日、自分が眠ってしまっている間に、奈美は帰ったはずだ。見送りはできなかったが、兄がはっきりそう言った。
それとも……あのあともまた、琴美を殺した犯人の手掛かりを探すために、どこかへ行ったのだろうか。
もし、そうだとしたら、この消失の理由は――。
「どうなんだ、ン? 上島がどこに行ったのか、知ってるのか?」
「わ、わかりません……」
と、答えるしかなかった。