成長する
美幸の兄が立っている正面の壁には、人が手足を伸ばしたよりも大きな紙が貼ってあり、そこには、少女の人型が描かれていた。

頭周り、首周り、ほかにも胴、腕の長さ足の長さ、体重や身長などの数値が記載された、人間の図面のようなそれの横に、

「……っ、来た、わね……」

行方不明になっていた上島奈美が、磔にされていた。

兄は、とても清々しく笑う。

「まだ生きてるんだね。すごい生命力だ。君、本当に、人間?」

「人間じゃ、なか、ったら……、なんだって言う、の……この、化け物……っ」

両手首と両太股を鉄の杭で壁に打ちつけられている美幸は、失神していてもおかしくはない。が、親友を殺した犯人が目の前にいる――その憎悪で、意識を保っているのだ。

「アンタ、なに、考えてるのよ……? そん、な、化け物飼って、……なんで、琴美を、殺したのよ……!」

「化け物とは、ひどい言いぐさだ。僕の愛しい美幸に、難癖をつけないでくれ」

「え……? ――え……?」

その言葉に、そして、肩をすくめた兄の手にぶら下がっているものを見て、奈美の目が見開かれる。

「みゆ、き……?」

頭が理解するのに数秒があり、理解した瞬間、奈美は吠えた。

「ああっ、あああああっ、おまえ、おまええええっ!」
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