クロスロードラヴァーズ














「もう……大丈夫なの、梓ちゃん?」


「ほんまに大丈夫かいな、梓はん?」


三日後の昼休み。

黙々と弁当箱の中身をつつく梓に、柚枝と郁が心配そうな表情で訊いた。


教室には、彼女達の他に二人から六人のメンバーで構成された五組のグループが机を寄せ合って弁当を食べている。



「んっ……大丈夫……。」


梓は蚊の鳴くような小さな声で答える。

目は虚ろで顔は青白く、誰の目から見ても大丈夫そうには見えない。



「何があったん、梓はん?オレで良かったら、話聞くで!他人に話すと、すっきりするかもしれへんよ?」


「うちも聞くよ!悩みがあるなら、解決方法も一緒に考えるから!」


「一人より二人!二人より三人やんか!」


「いっつも、うちばっかり話聞いてもらってるから、梓ちゃんが困ってる時は力になりたいの!」


郁と柚枝のしつこいほどの励ましに、初めは話したがらなかった梓も、遂には根負けしてしまった。
< 102 / 230 >

この作品をシェア

pagetop