クロスロードラヴァーズ
「もう……大丈夫なの、梓ちゃん?」
「ほんまに大丈夫かいな、梓はん?」
三日後の昼休み。
黙々と弁当箱の中身をつつく梓に、柚枝と郁が心配そうな表情で訊いた。
教室には、彼女達の他に二人から六人のメンバーで構成された五組のグループが机を寄せ合って弁当を食べている。
「んっ……大丈夫……。」
梓は蚊の鳴くような小さな声で答える。
目は虚ろで顔は青白く、誰の目から見ても大丈夫そうには見えない。
「何があったん、梓はん?オレで良かったら、話聞くで!他人に話すと、すっきりするかもしれへんよ?」
「うちも聞くよ!悩みがあるなら、解決方法も一緒に考えるから!」
「一人より二人!二人より三人やんか!」
「いっつも、うちばっかり話聞いてもらってるから、梓ちゃんが困ってる時は力になりたいの!」
郁と柚枝のしつこいほどの励ましに、初めは話したがらなかった梓も、遂には根負けしてしまった。