クロスロードラヴァーズ



「……わかったから。二人でエコーかかってるみたいに話すのはやめてくれない?耳が痛くなる……。」


「話してくれるんやな!」

「話してくれるんだね!」


二人の言葉に、梓はこくりと頷く。



「今日……聖河が退院するらしいんだ。」


「ほんまに?そりゃ、めでたい話やん!」


「確かにそのこと自体は、嬉しいことなんだけど。退院したらもう……会えないって、言われた。」


えっと目を丸くして驚く郁と柚枝。



「会えないって、どうして!?遠いところに行っちゃうの、聖河君?」


「叔父の家に帰って、入院中に休学してた大学に復帰するって。遠いところなのかはわからないけど、歳も環境も違いすぎるからって……。」


「ふっざけたこと言う男やな、聖河はん!会いに来てくれぐらい言えへんのかいな!」


郁は机をグーで叩きながら憤慨する。
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