クロスロードラヴァーズ
周りのグループが、驚愕と好奇の表情で見つめてきたがお構いなしだ。
「そないな男、こっちから願い下げや!そやろ、梓はん?」
「お、落ち着いて、郁ちゃん。」
「あっ……。すまへん、梓はん。悪口言うつもり無かったんやけど……。」
柚枝に宥められ、反省するように頭を下げる郁。
いいよと、梓は首を横に振った。
「梓ちゃん……メールか電話はした?会いに来るなとは言ってないんだから、大学の場所訊きだして会いに行っちゃおうよ!一人が不安なら、うちと郁ちゃんも一緒に行くからね!」
「ええ考えやな、柚枝はん!オレも聖河はんに言いたいことがようけ有るわ。」
「……気持ちは有り難いけど、その案は却下。聖河にはひどいこと言っちゃったから、メールは送りづらいし、電話はもっと気が進まないから。私が、聖河のことを忘れれば済む話だよ……。」
無理に口元を引き上げ、笑ってみせる梓。
そんな彼女に、かける言葉が見つからず、顔を見合わせるしかできない郁と柚枝だった……。