クロスロードラヴァーズ



「あ、ありがと。」


どぎまぎしながら礼を述べると、梓はジュースを一口飲んだ。

それを見届けてから、聖河は梓の隣に座る。



「……迷惑な女だって思ってる?」


ジュースから口を離し、下を向いた状態のままの梓が訊く。



「そんなことは思っていない。」


「だったら、どう思ってるの?その……私のことを。」


「……早く気分不良が治るといいと思っている。」


「はあ……聖河って……」


この天然が、と心の中で呟く梓。



「んっ?自分がなんだ?」


「もういいよ。気分は少しは良くなってきた。」


「そうか……それは良かった。」


聖河は僅かに表情を緩める。

梓の心臓がトクリと脈打った。
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