クロスロードラヴァーズ



「……これは?」


「メアドと携帯番号……赤外線で送って。もし、また何かあったら聖河に来てほしいから……。」


「ふっ……あんたには負けるな。」


聖河は参ったというように苦笑いして、自分の携帯をズボンポケットから取り出した。


そして、携帯の機能の中からプロフィールを選び出し赤外線送信ボタンを押す。



「送信する。……来たか?」


「ちょっと待って。……うん、来た。私のメアドと携帯番号は、後でメールで送るから。」


反対に、梓は赤外線受信ボタンを押して聖河のプロフィールを受け取る。



「わかった。それでは……今度こそさらばだ、梓。」


軽く頷いた後、聖河は歩き出す。



「また来てくれるよね……?」


遠ざかっていく聖河の背中に向かって、梓は小さな小さな声で問いかけるのだった……。
< 20 / 230 >

この作品をシェア

pagetop