クロスロードラヴァーズ
想いの行方
頭が真っ白になって、何も考えられなかった。
聖河と付き合うことに、柳兄が快く賛成してくれるなんて甘いことは考えてなかったけど……。
まさか、異性として好きだったって告白されるとは思わなかった。
私……どうすればいいんだろう?
聖河を選べば兄としての柳兄を失うことになるし、柳兄を選べば聖河と会えなくなると思う。
どっちも嫌だ。
二人共、失いたくない……。
だけど、選ばなくちゃいけない。
お願い、神様。少しだけ時間を下さい。
私に考える時間を少しだけ……。
「ええっ!?ほ、本当なの、梓ちゃん……?」
雨がしとしとと窓を打つ秋のある水曜日。
桜の木が描かれた桃色の箸で弁当箱をつついていた橋口 柚枝は、オレンジがかった瞳を丸くして驚愕の声を上げた。
いつもは赤いリボンで束ねる艶やかなストレートの黒髪を、、今日は紫色のリボンで束ねている。
「ゆ、柚枝。声大きすぎ……。注目されちゃってるって……。」
左手人差し指を口に当てて窘めたのは、彼女の親友の宇津町 梓。