クロスロードラヴァーズ


招き入れられた柚枝は、失礼しますと一言断ってからソファに座る。

その際、ワンピースがめくりあがらないようにと、スカートの後ろを伸ばす。


それから、ドーナツ入りの箱を目の前に設置されたテーブルに置いた。



「いつ来ても、きれいに掃除されてますね。うちの部屋と大違いだなあ。」


「埃一つでも、落ちていたら気になるからね。梓は毎日掃除しなくてもいいんじゃないって言うけど、僕が耐えられないんだ。」


「きれい好きのお兄さんが居て羨ましいなあ、梓ちゃん。」


柚枝の賞賛に、誉めても何も出ないよと柳都ははにかんでみせた。



「今日は紅茶がいいかい?それとも……」


「紅茶にします。コーヒーは、家で飲んで来ましたから。」
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