クロスロードラヴァーズ



「梓!こんな時に電話なんか……」


「静かに、柳兄。……聖河?今すぐ来て。緊急事態だから。いいから……ちゃんと後で説明するから早く来て。」


たしなめられた柳都は、聖河という名前を聞いてピクリと眉を動かした。



(聖河……?この間の彼か。関係無い人物なのに、なぜ梓は彼に電話を……?まさか……)


「此処梨 聖河……。」


柚枝もまた彼の名前に反応するかのように、包丁を持つ手にグッとより強い力を込めた。



「彼のせいで……うちも柳都兄さんも苦しい目に合ってるんだ……。彼が梓ちゃんをうちらから奪った……。」


「柚枝……何を言ってんの?聖河が私を柚枝から奪った?……何、それ。」


梓は馬鹿馬鹿しいという態度を見せることで柚枝を落ち着かせようとしたのだったが、それは逆効果のようだった。
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