クロスロードラヴァーズ


次の瞬間、



「此処梨 聖河君が来たら、うち……彼の前で自分を刺すから!!そうしたら、みんな同罪だからね。梓ちゃんも柳都兄さんも聖河君も、うちを見殺しにした重罪者なんだからね!」


柚枝は目を血走らせて、包丁を心臓へと一気に近付けた。



「柚枝!!」


「あはっ、顔真っ青だよ、梓ちゃんと柳都兄さん。うちはまだ死なないよ。残念だったね。」


顔面蒼白の二人を狂気的な笑顔で交互に見つめる柚枝。

包丁の刃先は、心臓がある位置の一センチ手前で止まっていた。



「……ふざけないでよ、柚枝。これ以上、からかうようなことしたら、本当に嫌いになるから!」


「嫌いになる……?今更でしょ、梓ちゃん。とっくの昔に、うちのこと見放してたくせに!」


柚枝の言葉の語尾と重なるように、玄関のドアが開く音が聞こえてきた。
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