クロスロードラヴァーズ

そして、



「これは一体……どういうことだ?」


怪訝そうに眉を潜めた聖河がリビングに入ってきた。



「梓……何が起きて……」


「来ないで、聖河!」


事情を聞こうと近づいてきた聖河を、厳しい口調で梓が制止する。



「なっ……“来い”と言ったかと思えば今度は“来るな”か。自分はどうすればいいんだ……?」


「来たんだ……来ちゃったんだね、聖河君……。」


聖河の姿を見て、柚枝の瞳が虚ろになる。



「ダメだ、柚枝!!」


「うち自身が言ったことだから……うちはやらなきゃね……。さよなら、柳都兄さん、梓ちゃん、聖河君。」


柚枝の手に持たれた包丁の先が、真っ直ぐ彼女の心臓に向かっていく。
< 32 / 230 >

この作品をシェア

pagetop