クロスロードラヴァーズ
「ぐっ……。」
小さな呻き声が漏れ、創られた傷口から鮮やかな血が流れた。
額からは脂汗が滲み出し、彼は膝からゆっくりと地面に崩れ落ちるように倒れた。
「う……そ……でしょ……?うちのせいで……聖河君が……。嫌……嫌ああああ!!」
柚枝の叫び声が辺り一帯に響く。
「嘘……こんな……」
「梓!ぼうっとしてないで、救急車を呼んでくれ!!僕は応急処置をするから!!」
呆然としていた梓は、柳都の声で我に返った。
「わかった……柳兄。」
梓はコクリと頷くと、ケータイを取り出し素早く電話する。
その間、柳都は救急箱から包帯を出して、聖河の創傷部に巻いて止血を試みていた。
柚枝だけは、全くその場から動くことなく、狂ったように甲高い声を発し続けていた……。