クロスロードラヴァーズ
「レート二十から四十。プルス五十二。右脇腹より多量の出血あり。これは止血済みです。」
二十分ほど経ってから到着した救急車の中。
看護士が聖河の現状を救急隊員全員に大声で伝える。
「聖河……。」
不安そうに眉を下げた梓が、目の前に横たわる青年の名前を呼んだ。
口には酸素マスクが当てられていた。
コードで腕と繋がった輸血バンクが、車の振動でゆらゆら揺れている。
「大丈夫……だよね?」
小さな声で聖河に問いかける梓。
聖河からの返事は無く、ただ浅い呼吸音が聞こえてくるだけであった……。