クロスロードラヴァーズ
翌日。
梓が聖河の病室を訪れると、柚枝が既にお見舞いに来ていた。
柚枝はベッド脇の丸イスに腰掛けていて、聖河は上半身だけ起こし、二人は親しげに話していたのだった。
「あっ、おはよう、梓ちゃん!」
「柚枝……。おはよう。」
何か刺さっているかのように胸がチクリと痛んだが、平然とした表情を装って、梓は微笑みながら返した。
「一人で来たのか、梓?兄の方は……」
「柳兄ならバイト。子供じゃないんだから、一人でも来れる。」
子供扱いされたような気がして、梓はややぶっきらぼうに聖河に返す。
「……それもそうだな。余計なことを言って悪かった。」
「………。」
梓は無言でツカツカ歩み寄り、柚枝とは反対側のベッド脇の丸イスに腰掛けた。