クロスロードラヴァーズ



「りんごか。すまない、梓。わざわざ気を使わせたな……。」


「あ、謝らなくていいから、その辺に飾っといてよ。……飾るだけじゃダメだからね。ちゃんと食べてよ。」


「無論、美味しく頂く。梓が重たい思いをして届けてくれたりんごだからな。」


柔らかく微笑んで言う聖河。

梓の頬にほんのり紅がさす。



「うちが持ってきたメロンも食べてよ、聖河君!うち……本当に反省してるから。治るまで毎日お見舞いに来るし、お世話するから!」


身を乗り出すようにして、二人の間に柚枝が割って入る。



「そこまで気を遣わなくてもいいが……後ほどメロンは頂くつもりだ、柚枝。」


「うん、食べやすいサイズにうちが切るからね!梓ちゃんの分も……」


「要らない。……もう帰るから。」
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