クロスロードラヴァーズ
「えっ?帰っちゃうの、梓ちゃん!来たばっかりなのに……。」
柚枝は心底悲しげに眉を下げた。
(柚枝と聖河が仲良さそうに話してるところ見てたら、なんか……ムカついてきたから。)
そんな心の声を抑え、
「家に誰も居ないのは物騒だから。見たいテレビもあるし……宿題も残ってるから。柚枝も帰って宿題したら?夏休み、あと一週間しかないよ?」
皮肉を混ぜ隠した言葉を返すと、それじゃお大事にと梓は病室から出て行ってしまった。
「梓、待っ……」
「宿題かあ。わかんないとこ教えてほしいな、聖河君。」
「梓……。」
無邪気に頼む柚枝の声を隣で聞きながら、聖河は梓の去っていた方をジッと見つめていたのだった……。