クロスロードラヴァーズ


少女といっても、黒いジャケットに灰色のTシャツと緑色のカーゴパンツ。

おまけにごてごてのシルバーアクセという格好で、わずかに膨らんだ胸元と喉仏が無いことに気づけなければ、男性にしか見えない。



「親の転勤でしばらくこっちには戻って来れないんじゃなかった?」


「それが、や!聞いてや、梓はん!オレの父はんがまたまた転勤になってな。今度はなんと!ここの近くなんやで!せやから、オレは九月から梓はんと同じ学校に通うから、その前に挨拶しとこう思ってな!」


興奮したように一気に話す郁。



「なるほど……。あっ、立ち話はあれだから中に入って。」


「梓はんがええなら、ちょっとだけお邪魔してくな。んっ……なんで、クッションがこないとこにあるん?」


「ああ……それは気にしないで。」
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