クロスロードラヴァーズ
「そやったら、呼ばれる可能性は限りなくゼロやな!先生かて、いちいち呼び出しよったらキリが無いやろからなあ。」
一人納得したように、うんうんと頷く郁。
そうだねと言葉を返し、梓が教室の入り口ドアへ歩き出した時。
「あっずさちゃん!一緒に帰ろう!」
元気のよい声が、廊下から聞こえてきた。
「柚枝はん!?ようやっと会えたなあ!」
郁は呼ばれた梓より先に、声の方へ駆け出す。
「えっ……ああっ!郁ちゃん、久しぶり!」
柚枝も笑顔で郁の挨拶に応える。
二人は、入り口ドアで落ち合って雑談を始めた。
「なんや、美人になったなあ、柚枝はん!恋しとるんかいな?」
「や、やだなあ、郁ちゃん!再会したばっかりでそんなこと聞くなんて、近所の叔父さんみたいだよ?」