クロスロードラヴァーズ
「へっ?あ、ああ……そやな!話変えよか……えっと……ワンころは元気かいな?」
「ミントのこと?元気だよ!最近、ふせを覚えたんだけど……」
二人の会話は途切れそうもない。
「二人共……私は先に帰るよ?」
「あっ……ごめん、梓ちゃん!うちは、郁ちゃんともう少し話してから帰るね。また明日ね、梓ちゃん。」
「オレも柚枝はんの近況聞いてから帰るわ。まったなー、梓はん!」
柚枝と郁の声を背中に受けながら、梓は一人でスタスタと帰っていった……。
「珍しい見舞い客が来たものだな……。」
夕日が沈みかける頃。
聖河の病室を、柳都が訪ねていた。
「……嫌みかな、それは?梓じゃなくて悪かったね。」
「嫌みを言ったつもりはないのだが……。」
聖河は困ったように眉を潜めて口ごもる。
失礼するよと断ってから、柳都はベッドの左側に置かれた丸イスに腰掛けた。
「柚枝を振ったらしいね。彼女自身から聞いたよ。」
「……ああ。」