クロスロードラヴァーズ


「例えばの話さ。深く考える必要は無い。今の君だったら、受け止めらるかい?」


「………。」


聖河はまたしても答えない。



「肝心なところはだんまりか。そんな男らしくない君には、梓は渡せないな。……失礼するよ。」


柳都は立ち上がり、病室入り口ドアへ歩き去って行く。



「……あんたは梓のことを妹以上に想っているのか?」


その背中に、聖河が質問を投げかける。

柳都の足がピタリと止まった。



「僕は……梓が幸せならそれでいいんだ。好きだろうと何だろうと……僕の勝手な想いだけで、梓を縛り付けたくない。」


「それはつまり……」


「……それじゃ。」


今度こそ柳都は立ち止まらずに病室から出て行った。
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