クロスロードラヴァーズ



「梓ちゃんの恋人だよ。」


爆弾発言とも思われる言葉を、しれっとした顔で言う柚枝。



「へえっ!?な、何言ってるの、柚枝!ち、違うからね、郁!」


驚きのあまり、梓の声は裏返り、箸で挟んでいた蒲鉾が弁当箱の中に落ちた。



「梓ちゃん、顔真っ赤だよー。」


「ほう……梓はんに恋人ができたんや?それはおめでたいなあ。どないな男や?」


「か、勝手に話進めないでよ、二人共!聖河はその……ただの友達だから!」


顔を真っ赤にして否定する梓に、ほんまにそうと郁が顔を近付ける。



「そうだ、梓ちゃん!今日の学校帰り、郁ちゃんも連れて聖河君のお見舞い行こうよ!」


「お見舞い?病気なん?」


「病気じゃなくて、ケガの方だよ。みんなで元気づけてあげようよ!」
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