クロスロードラヴァーズ
柚枝が両手を胸の前でパンッと打ちながら言った。
「聖河とは気が合わなそうに見えたけど……友達?」
「悪友……だな。あまり思い出したくない思い出を作ってくれた奴だ。」
聖河は口元を引きつらせて苦い顔をする。
「そないに苦手やのに、なんで共同研究したん?もしかして、罰ゲームとかかいな?」
「たまたまテーマが被っただけだ。いや、わざとか……?」
「なんや、じれったいなあ。最初から話してみいや!梓はんと柚枝はんも聞きたそうにしとるやん。」
自問自答する聖河に催促する郁。
「うん、聞きたい!」
「ここで“聞きたくない”って言うのは、空気読めてないよね。」
梓と柚枝の意見は、郁に賛成のようである。
致し方ないかと呟くと、聖河は三人に青年との思い出を話すのだった……。