恋するために生まれた
窓から洩れる光で
目が覚めた。



のそのそと
ベッドから出ると
カーテンを開けた。



「やっぱり晴れた」


あたしは
ちょっと嬉しくなって
にんまりしながら
伸びをした。



「牛乳飲も。」


冷蔵庫を開けて
パックを取り出し
コップに注ぐ。


あたしは牛乳を毎日飲むのだ。
朝も夜も、時には昼も。


実は
牛乳の味は
そんなに好きじゃない。

牛乳の白々しさが好きなのだ。


真っ白な冷たい牛乳を飲むと
喉を伝わって
体中に白さが染み渡る気がする。
心まで
白くなっていくような。
白々しいほど健康的な感じが
なんだか好き。

あくまでも
感じ、だけど。






まだ母の部屋の扉は
閉まっている。


母は夜働く生活が長いせいか
朝にひどく弱い。
早起きなんてありえないのだ。



あたしは顔を洗い
歯磨きをすると
制服に着替えて
そそくさと家を出た。
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