恋するために生まれた
「おはよー」


教室に入ると
里美が声をかけてきた。



「おはよ」

「ねぇねぇ昨日のメール読んだ?」

「あ、ごめーん。
 ケータイ電源切ったままだぁ」

「えぇぇっ!まじで?」



昨日
病院に入るときに
電源を切ってそのまま忘れてた。

あたしはちっとも
マメじゃないのだ。



「ホントごめん!急用だった?」


里美は呆れ顔だ。


「別に急用じゃないけどさー
 ユウはいつも返信遅いか
 ないかだからさぁぁ…
 彼氏でもいるのかなーなんて」


「彼氏ぃ?
 ないない!そんなの」

「だって電源切りっぱなんて
 ありえないよー」



里美はいい子なんだけど
ちょっと友達に依存しすぎ。

いや、多分
里美がフツーで
あたしがヘンなのか。



「彼氏いたら言ってるって」

「ホントかぁ?
 ユウは秘密主義だからなぁ」

「あははは」





同級生はみんな
男の子の話ばかりしてる。

誰が好きだとか
付き合っただとか
別れただとか。



あたしは
どうもそういう話題に
なじめないでいる。
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