恋するために生まれた
約束
「ツバサ〜!」


学校帰り
あたしとツバサは毎日
公園で会うようになった。



「おぅ!おせーぞ!」

「ごめんごめん」

「ウッソーん♪俺も今来たとこ」




季節はもう冬になっていた。

あたしは来る途中に買った
温かいミルクティーを
ツバサに渡した。



「おぉ〜気がきくじゃん!
 サンキュー♪」

「どーいたしましてっ」


渡すとき
一瞬、指が触れた。




…嘘じゃん。
今来たとこ、なんて嘘じゃん。

ツバサの指は冷たかった。



「寒いね〜」

「そーだな。
 空見るには不向きな季節だな」

「どっか行こうか??」

「どこに?」

「んーとねぇ…」

「…俺んちでも来る?」

「いいのっ?!」

「おぉ、今日誰もいねーし」





ドキッ…とした。



“誰もいねーし”




それって
どういうことなんだろーか。




黙りこんだあたしを見て
ツバサはフッと笑う。



「おまえ今
 ヤラシーこと考えてただろ」

「ちっ…違っ…!」




図星なことを言われて
あたしは耳まで真っ赤になる。

あぁ恥ずかしい恥ずかしい…




でも
ツバサはどーなの?

聞いてみたい…けど
聞くのがちょっと怖い。





「安心しろ!
 嫌がることなんてしねーよ」

ポンポン、と
ツバサがあたしの頭を軽く叩く。




「寒いから行こうぜ」

「…うん」



手をつなぎ
並んで歩き出す。



ツバサんちに着くまで
一言も喋らなかった。

なんだか
胸の鼓動が
ツバサに聞こえてしまいそうだ。
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