恋するために生まれた
「…おじゃましまぁす…」
「おぅ、あがれあがれ」
本当に
今日は誰もいない。
ツバサは部屋ではなく
リビングにあたしを通した。
「俺ミルクティー飲も」
鞄から
さっきあたしがあげた
ミルクティーを取り出す。
「…もう冷たいんじゃない?」
「いーよ。
俺ミルクティー好きだから」
さりげないツバサの気遣い。
冷えたホットミルクティーなんて
美味しいはず、ないのに。
「今日お母さんお出かけ?」
「あぁ」
お母さんの話題を出すと
ツバサは途端に
ぶっきらぼうになる。
「…お母さんのこと、嫌い?」
また
はぐらかされるだろうか。
ツバサはあたしに
家族の話をしない主義だ。
今でも。
「母さんなんかじゃねぇし」
「えっ…」
予想外の返事に
あたしは言葉を詰まらせた。
ちゃんと答えてくれるなんて
期待どころか
想像もしてなかったから。
「あいつ、後妻なんだ」
…でも
ツバサに似てたよ?
あの笑顔は
ツバサの面影があったよ?
そう思っても
あたしはその言葉を
口にすることはできなかった。
ツバサの表情が
嘘じゃない、って物語っている。
ツバサは冗談は言うけど
あたしに嘘をついたことは
一度もない。
だからきっと
これも嘘じゃない。
「そっか…」
「おまえも
あいつは信用するな」
「…ん…」
ツバサを信じてる。
けど
あのお母さんが
悪い人だなんて
あたしは思えなかった。
あの優しい顔が
仮面だとは、あたしは思えない。
庭に咲きみだれている
花たちを見れば
あの人が悪い人じゃないことは
よくわかる。
でも
ツバサがそう感じるのは
何か理由があるんだよね。
ツバサから話してくれるまで
あたしはあえて聞かないよ。
気持ちの整理がつく前に
根掘り葉掘り聞かれる辛さ、
あたしちょっとだけ
わかるから。
「おぅ、あがれあがれ」
本当に
今日は誰もいない。
ツバサは部屋ではなく
リビングにあたしを通した。
「俺ミルクティー飲も」
鞄から
さっきあたしがあげた
ミルクティーを取り出す。
「…もう冷たいんじゃない?」
「いーよ。
俺ミルクティー好きだから」
さりげないツバサの気遣い。
冷えたホットミルクティーなんて
美味しいはず、ないのに。
「今日お母さんお出かけ?」
「あぁ」
お母さんの話題を出すと
ツバサは途端に
ぶっきらぼうになる。
「…お母さんのこと、嫌い?」
また
はぐらかされるだろうか。
ツバサはあたしに
家族の話をしない主義だ。
今でも。
「母さんなんかじゃねぇし」
「えっ…」
予想外の返事に
あたしは言葉を詰まらせた。
ちゃんと答えてくれるなんて
期待どころか
想像もしてなかったから。
「あいつ、後妻なんだ」
…でも
ツバサに似てたよ?
あの笑顔は
ツバサの面影があったよ?
そう思っても
あたしはその言葉を
口にすることはできなかった。
ツバサの表情が
嘘じゃない、って物語っている。
ツバサは冗談は言うけど
あたしに嘘をついたことは
一度もない。
だからきっと
これも嘘じゃない。
「そっか…」
「おまえも
あいつは信用するな」
「…ん…」
ツバサを信じてる。
けど
あのお母さんが
悪い人だなんて
あたしは思えなかった。
あの優しい顔が
仮面だとは、あたしは思えない。
庭に咲きみだれている
花たちを見れば
あの人が悪い人じゃないことは
よくわかる。
でも
ツバサがそう感じるのは
何か理由があるんだよね。
ツバサから話してくれるまで
あたしはあえて聞かないよ。
気持ちの整理がつく前に
根掘り葉掘り聞かれる辛さ、
あたしちょっとだけ
わかるから。