恋するために生まれた
次の日曜日。
あたしはツバサと海へ行った。



二人で初めて電車に乗った。

二人で初めて、のことがどんどん増えていく。


「寒いかなぁ」

「寒いだろー冬なんだから」

「そーだよね」


電車はすいていて
なんだか少しだけワクワクする。
ツバサはずっと外の景色を見ている。
私はそんなツバサの横顔をずっと見ていた。



「知らない街って好きなんだ」

「あ…
 あたしもそう思ったことある」


ツバサはクスッと笑って

「やっぱ似てるな。俺達」

と言った。




「知らない土地で
 知らない人達が
 毎日呼吸してるんだね…」


思ったままのことを口にして
私はなんだか恥ずかしくなった。


「あ…意味わかんないよねっ」

「わかる」

「え…」

「わかる」



あぁやっぱり
あたしとツバサは似ている。

そう思って嬉しくなった。
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