恋するために生まれた
「高校卒業したらさ、
 知らない街に行かないか?」

「え…?」



波の音が響いている。

ツバサの顔を見上げると
ツバサは優しく笑った。



「知らない街でさ、
 おまえと一緒に暮らしたいんだ」

「ツバサ…」

「イヤか?」

「ううん、嬉しい…」

「そー言うと思った!」



ツバサは、にぱっと
本当に嬉しそうな顔をして
あたしも笑った。



「ユウと結婚して、
 いつか子供も産まれて…
 いいな、そういうの」

「じゃああたし、
 片桐ユウになるんだね」

「あたりまえっ!」





あたし達は
まだ17歳で。


将来を誓うには
幼すぎるかもしれない。



でもね、
この気持ちは
嘘じゃないんだ…―。




そっとキスをして
あたし達は手をつないで
海を見つめていた。
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