恋するために生まれた
「お父さんとナオさんは
 出会った時にはすでに
 お互い結婚していたの」



母は遠くを見つめているような眼差しで、ゆっくりと話し始めた。



「二人が惹かれ合うのに
 そう時間はかからなかった」






―ツバサのお母さん。

きっと、ツバサに似て
とても綺麗な人だったんだろう。


あたしはそっと目を閉じて
母の言葉に集中した。







それは、
あまりにも切ない
遠い昔の
恋物語だった―…
< 57 / 72 >

この作品をシェア

pagetop