恋するために生まれた
「きもちい〜…」



青い空を見上げて
声に出して私は言った。





やっぱり今日も
空を見に
病院の屋上へ来た。






ヒマ人だな、あたし。


母はがんばってくれてるけど
どーせ経済的に
大学なんて行けないから
勉強なんてしなくていいのだ。


っつーか
そもそも勉強が
好きじゃないのだ。






穏やかな空。

穏やかな場所。



あたしは本当にここが好きだ。





目を閉じると
眠ってしまいそうなくらい
気持ちのいい、午後。






いつものように
ぼんやりしていると
ここの空気にはそぐわない
張りのある声が響いた。




「おまえ何してんだ?」
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