ガールズ・ブルースプリング
一家4人の野々山(ののやま)家。
9階建てのマンションの8階に住む、ごく普通の家族。
「椎、そろそろ着替えたほうがいいわよ」
「あ、ほんと?」
ちょうど食べ終わって時計を見ると、7時過ぎ。
家を出るのは7時半くらいを予定していたから、たしかにそろそろ準備をしたほうが良さそうだ。
「ごちそうさま」
そう手を合わせて食器を運んでから、リビングを出た。
「制服、似合うかなぁ…」
自室に入り、クローゼットの中から新しい制服を出した。
あたしが今日から通う県立柊(ひいらぎ)高校は、自由な校風が有名で制服も可愛い。
そのおかげで、なかなか入るのにも苦労したのだ。