ジュリエットに愛の花束を。
「……取り入ったわけでもないですけど、まぁ、お兄さんのおかげです」
「どういう意味だ?」
「お兄さんが二年ちょっと前に結婚されたのが始まりです。
家出してきた瑞希さんが僕の部屋にきて、それで……」
「おまえ……っ、二年前から男の家に入り浸ってたのかっ!」
急に矛先が向けられて、しびれた足をさすりながら答える。
「その頃はまだ入り浸ってなかったよ。家出して、それをかくまってもらってただけ。
同じベッド使ってたのに、樹は指一本あたしに触んなかったし」
「お、同じベッド……?!」
愕然とするお兄ちゃんを目の前に、樹があたしを迷惑そうに見る。
「おまえ、黙ってろよ。これ以上神経逆なでする事言うと、お兄さん、怒りのあまり狂っちゃうんじゃねぇ?」
「ねぇ、ずっと不思議に思ってたんだけど、樹っていつからあたしが好きだったの?
あの三日間、手出してこなかったって事は、あの時はまだなんとも思ってなかったんでしょ?」
「あー……微妙だな。半々ってとこか」
「じゃあ、なんで手出さなかったの?」
「俺には無理矢理する趣味ねぇし」
「えー、絶対嘘。樹、ちょっと強引にしてくる時の方が興奮し……」
「黙れえぇえっ!!!」
そうして、本日二度目の、お兄ちゃんの雷が落ちた。