ジュリエットに愛の花束を。
「……何か夢中になれるモノ探してて」
「夢中になれるモノ?」
「樹には陸上があるじゃん。だから、あたしも何かないかなって」
「さっきの『ライバルとしては……』は、その悩みのどの辺に出てきたんだよ」
鋭い突っ込みに、ドキっとしながら言葉を探す。
「何事を始める時にも、ライバルっていた方が燃えるじゃん。そういう事」
「まぁ、いなきゃいないでやる気でないモンかもな。でも、瑞希がそんな積極的に何かを探してるなんて意外っつぅか……。
なんで急に探す気になったんだよ」
「……自信をつけたいから?」
疑問符をつけて言うと、樹はしばらく不思議そうにあたしを見てた。
その視線に気付いて、パッと明るく笑ってみせる。
「ほら。お兄ちゃんとこのお嫁さんがかなりいい女だから。
ちょっとあたしも頑張ってみようかなって。そんな程度」
誤魔化すと、樹は柔らかく微笑む。
あたしが誤魔化した言葉になんて、気づいてるくせに。